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英国王のスピーチ」という映画をご存知だろうか。吃音症の英国王の苦悩を描いた映画である。

 なぜ、上記の映画を挙げたかというと、実は私は吃音症なのです。「だから何?」「えっ?それがどうかしたの?」と、思うかもしれませんが、私にとっては厄介者の他でもありません。
 さかのぼると、症状は小学2年生の頃から自覚があります。理科の授業で、氷砂糖を速く水に溶かす方法を答える際、「砕く」の最初の「く」が発せられなかった。その時は「gggggkkkkくくくく砕く」と答えた。先生の反応は特になかったが、たかが3つのカナが言えなかった自分がすごい恥ずかしかった、苦しかった。
 その頃から、会話/発言する事が辛くなりました、苦しくなりました。話すたびにドキドキ。緊張度100%超。鼓動は高まり、汗をかく(決して大げさな表現ではありません)。授業で指される事が辛い、怖い。答えたくない。答えはわかってるのに答えられない。そんな日々が続きます。
 小学校を卒業して、中学校〜高校〜専門学校と症状は続きました。もちろん就職してからも症状はあります。仕事で避けられない電話や会議。正直、毎日が苦痛でした。帰宅してから、週末の自宅での一人が凄い楽だった。どこにも出かけたくない、人と会話もしたくない。
 仕事では、プレゼンが一番最悪でした。言葉無しには進められないから。そこで私は、発する言葉を減らすべく、とにかく資料を充実させた。が、やはり発する言葉を減らすことは無理だったよ。読めばわかる事をわざわざ質問してくるし。でも、やはり資料の内容は充実させてるね。これは今でも続けてる。

 そんな毎日が過ぎていくうちに私も結婚して子供ができたりと。結婚してからかな、多少は吃音症状が減りました。減ったというか、会話への恐怖心が薄れたというのが正しいか。ただ、完全には消えてはいない。初対面の人と話す時や、プレゼン等の自分だけのスピーチの時は相変わらず症状が出てしまう。
 名刺交換の際に自分の名前すら言えない事も多々ある。対人恐怖症とは違うのです。人と話す時、「どもったらどうしよう」。そういう不安が先行して緊張し、緊張するとさらにどもりやすくなるのです。
 そして、この症状は私の子供、長男に出始めました……。
 長男は4月より幼稚園に通っています。それまでは何ともなかったのが、幼稚園に通い始めてから症状がててきてます。多くの吃音症のサイトには、幼児はストレスにより吃音症になる事が多く、小学生になる頃には治ってるとありますが、もしかしたら幼稚園に通う事がストレスとなっているのか、それとも私が叱りすぎなのか。吃音の辛さをしってるから、私と同じ道を歩んで欲しくない。そう願う。
 今でも悩んでますよ。できることなら会話したくない、電話したくない。でもやらざるを得ない。だからやる。勇気を出して言葉を発する。毎日が格闘ですよ。
 吃音症ではなかったら、私は、自分を表現するのが好きなので演劇の世界に行ってたかもしれません。俳優としてテレビや映画で活躍していたかもしれません。そう思うと、今でも悔しくて、辛くて仕方がありません。

 吃音という症状をもつ人間がいる事を知ってほしい。これは何も珍しい症状ではない。ただ、とてもマイナーな症状なので認知度が低いのです。(上述していますが、英国王のスピーチという映画が公開されてました。吃音は日本だけではなく、英語圏等、世界中にあります)
 吃音だからといって特別扱いをしてほしくなく、普通に接してください。ちょっと話すのに時間がかかったり詰まってしまう事があるので、それを気にしないで最後までしっかりと聞いてほしいのです。また、言葉に詰まったことを突っ込まないでほしい、ネタにしないでほしい。切実な願いです。